省人化とは?省力化との違いや工場におけるロボット活用について解説

省人化とは?省力化との違いや工場におけるロボット活用について解説

工場における人手不足の解消や、生産効率の向上を考える上でもカギとなる省人化。「省人化とはどのような取り組みか」「省力化との違いは?」など、省人化について具体的に知りたい方もいるのではないでしょうか。ロボットの導入など、効果的な省人化の方法を知りたい方もいるでしょう。

今回の記事では、省人化について具体例を示しながら、わかりやすく意味や方法をご紹介します。ぜひ自社の取り組みにお役立てください。

省人化とは?意味や目的について

省人化は「ショウジンカ」と読みます。英語では、人的資源などを意味する「Manpower」や、労働者などを意味する「Labor」などを使って、「Manpower-saving」「Labor-saving」などと表記することが一般的でしょう。
省人化とは「自動化」や「効率化」によって、その業務に携わる人員を削減することを意味します。製造業においては、それまで人だけで行っていた業務をロボットや機械などに置き換える、といった意味合いが強いでしょう。

省力化・少人化との違い

省人化と似ている言葉に、「省力化」と「少人化」があります。それぞれの違いを下にまとめました。

省力化:その業務にかかる労力を減らす
省人化:その業務に携わる人員を減らす
少人化:生産量の変動に応じて、最少の人数で業務を行う

省人化と省力化

省力化では、業務に携わる一人ひとりへの負担が減り、楽に作業を行えるようになります。省人化も人への負担が減りますが、人員削減に重きを置いている点で異なるでしょう。

一方、少人化は変動する生産負荷にあわせて、生産ラインの人員が最少人数になるようコントロールすることを意味します。生産量にあわせて、常に最少の人員で対応できるような体制づくりが必要でしょう。

省人化の目的やメリット

省人化の目的や、具体的なメリットについて見ていきましょう。

人手不足解消や働き方の改善

省人化の目的の一つに、人手不足の解消が挙げられます。製造業では、人手不足や技術者の高齢化などの問題が深刻化していますが、省人化を実現すれば、すべての作業工程を人に頼らなくても生産性が保てるようになるでしょう。

ロボット導入などによって、重い物を持ち上げるなどといった肉体的な負担や、長時間労働なども減らせます。省人化対策は、製造業の働き方を改善することにもつながるでしょう。

品質の均一化

人が手作業で行っていた作業をロボットで自動化する場合、品質の均一化のメリットもあります。作業員の技術の差に左右されずに一定の質を担保できるため、品質管理しやすくなるでしょう。

製造業では、担い手不足による技術継承の危機も抱えている企業も見られます。これまで、熟練技術者のスキルに頼ったものづくりを行ってきた場合も、自社のノウハウや技術を残すために、ロボットの活用も視野に入れて対策を考えることが重要です。

戦略的な人員配置

省人化のメリットとして、人材活用の可能性を広げられることも挙げられます。省人化によって浮いたリソースを、創造性の大きい業務や個人の強みを活かしたポジションへと移動することも可能でしょう。

生産性向上

ロボットやシステムなど省人化ソリューションを導入することで、製造工程が見える化され、業務効率化や生産性向上のための改善を行いやすくなります。例えば、省人化装置とIoTを連携させて、装置の挙動や製品の加工経過などのデータを収集。製造ライン上のあらゆる作業が可視化されることで、ムダの削減や不良品の原因解析などにも役立つでしょう。

省人化のデメリットや注意点

省人化の施策を考える際に、注意したいポイントについて解説します。

導入やメンテナンスにかかるコスト

省人化のために機械や設備を導入する際は、初期費用やメンテナンス費用がかかります。また、従業員が設備などの操作方法を習得するために教育コストがかかることも意識しておきたいポイントです。研修資料の準備など、教育にかかる工数を見越して、導入期間のリソースに余裕をもたせておくなどの対策が必要でしょう。

自動化などの設定や調整にかける時間

ロボットを活用して製造の自動化を行う場合、仕様変更のたびに設定の調整が必要となり、その間に生産ラインを止めなければならないことはデメリットと言えるでしょう。

また、省人化のために工程の一部分を自動化すると、前後の作業との連携に手間がかかってしまう場合もあり、注意が必要です。

作業スペースの確保

ロボットなどの設備を置くスペースも、導入時に意識したいことの一つです。工場のスペースに余裕がない場合は、「人の作業スペースが狭くならないか」「人の作業の安全性を担保できるか」といった点について、事前に検討しておく必要があるでしょう。

【製造業で実践】省人化の取り組みや具体例

省人化を実現するには、どのような方法があるのでしょうか。実際の省人化事例を参考に、取り組みやアイデアをご紹介します。

産業用ロボット

産業用ロボットとは、工場などで生産を行うための機械です。人が行っていた作業をロボットアームなどの産業用ロボットに置き換えるといった方法が、省人化の代表的な例でしょう。製造業における産業用ロボットの活用分野は、次のようなものが挙げられます。

<産業用ロボットが活用されている分野>

  • 溶接
  • ハンドリング
  • 塗装・シーリング
  • 加工
  • 組み立て
  • クリーンルーム など

例えば、ラインで流れてきた部品の向きを調整し、梱包するという収納の工程を、ロボットアームと画像センサーによって自動化することが可能です。ほかにも、外観部の溶接工程にロボットを導入し、人との共同作業によって、作業者を4人から3人へと削減できた例も見られます。

AI

さまざまな分野で急速に広まっているAIは、正式には「人工知能(Artificial Intelligence)」と言います。その定義は広いですが、代表的なものだと機械が人間の思考プロセスと同じような形で動作するプログラムや、コンピューターが「学ぶ」ことができるなどの性質をもつものが挙げられるでしょう。製造業においては「外観検査」「異常検知」「予知保全」などの領域で、AIの導入が進んでいます。

<製造業でのAI活用例>

  • 設備の予知メンテナンス
  • 外観検査を自動化
  • AIによる異音検査の自動化

工場設備における異常の予兆をキャッチするために、AIを搭載したシステムが活用されている例も。AIを利用した外観検査では、人による目視検査よりも早く、正確にチェックできることもメリットです。

異音検査にAIを導入した自動車メーカーでは、音データに基づいたAIを活用することで省人化を実現し、効率的に検査を進められるようになりました。ほかに、AIによるデータ解析を生産計画の最適化や歩留まり改善に活用する例も見られます。

(総務省「人工知能(AI:エーアイ)のしくみ」を加工して作成)
(文部科学省「AIってなに?」を加工して作成)

省人化に取り組む際に押さえておきたいポイント

省人化に取り組むときに、押さえておきたいポイントをご紹介します。

作業のムダを見直す

ロボットや設備、システムといった大掛かりな省人化の施策に着手する前に、まず現状の業務のムダを洗い出しておきましょう。作業効率のよい業務プロセスへと改善しながら、ロボットなどの投入により省人化の効果が見込めそうな工程を考えます。

マニュアルを作成し標準化する

省人化の施策を進めやすいよう、業務を標準化しておくこともポイントです。従業員がそれぞれのルールで作業している状態や、業務が属人化している状態では、ロボットなどとの連携が取りにくく、トラブルも発生しやすいでしょう。作業手順をマニュアルに落とし込み、現場で徹底していくことがポイントです。

情報管理の方法を見直す

省人化に向けた計画段階における、データ分析の精度を高めておくことも重要です。どの工程にロボットを導入するのがより効果的かを検証するには、正確なデータを収集・分析するための土台となるシステムが必要でしょう

データ基盤づくりに「生産管理システム」を活用

省人化を目的に「ボトルネックはどこか」「どれくらい時間がかかっているのか」といった現状分析をするためには、情報を収集・管理するためのデータ基盤が必要です。部門内だけでなく、社内横断的なデータ活用が簡単に行えるような共通のプラットフォームが必要でしょう。このような課題を解決できるのが、生産管理システムです。

生産管理システム

生産管理システムとは、在庫管理や購買管理、工程管理など、製造業におけるさまざまな業務を一括管理できるシステムです。製造管理や設備管理も一つのシステム上で行うことができ、横断的なデータ活用によって見える化を推進し、省人化に向けた現状の把握、課題分析にも役立つでしょう。

生産管理システム「ProAxis」の特徴

ここからは、キッセイコムテックが開発・販売している生産管理システム「ProAxis(プロアクシス)」についてご紹介します。

ビジネスソリューション事業部
第3システムソリューション部

矢吹 圭介

2011年入社。主に製造業向け業務システムの受託開発に携わり研鑽を積む。生産管理パッケージシステム「ProAxis」製品化プロジェクト発足時からの主要メンバー。
製造業の業務に対する造詣は深く、顧客ニーズを様々な視点から拾い上げ実現することで、製品力の強化に大きな貢献をしている。基幹システムに求められる安定性と時勢に応じたICTを取り入れユーザにとって価値あるソリューションを提供し続けようとする姿は後進の規範にもなっている。
「速さ」、「正確さ」を求めながらも、「柔軟さ」も備えた多才なプレーヤーである。

<生産管理システム「ProAxis」の特徴>
量産と個別受注の2つの生産方式に対応
●現場にあわせた操作性。設計変更なども簡単
●柔軟なカスタマイズやアドオン開発にも対応

生産管理システム「ProAxis」は、受注生産または見込生産型の「量産」と一品物を製造する「個別受注生産」の両方に対応。生産現場のニーズに幅広く対応する適応性を備えたシステムです。マスタはシンプルな構成となっており、現場での追加・修正なども簡単です。

個別に、柔軟なカスタマイズとアドオン開発にも対応しております。創業以来30年以上、さまざまな企業のシステム導入に携わってきたノウハウを活かし、お客様に最適なシステム構築をご提案します。省人化に向けたIT基盤づくりもお任せください。

「量産」にも「個別受注」にも対応できる生産管理・債権債務管理システム「ProAxis」

今後の事業展開も視野に入れながら省人化対策に取り組もう

人の作業を自動化機械に置き換えることで省人化されれば、人手不足が解消されるだけでなく、品質管理にも役立ちます。機械や設備を導入する場合は、人の作業の流れも考えながら、完全な機械化や人と機械の共同作業など、業務の性質にあった方法を考えましょう。データを収集・分析するための基盤が重要となる省人化対策では、場合によってはツールを導入し、IT化やDX化などと両輪で進める必要があります。今後の事業展開も見据えて最適な方法を選択し、省人化に向けて取り組みましょう。

MENU
TOPへ