DXの推進に必要なクラウド化とは?活用のメリットや成功事例を解説

DXの推進に必要なクラウド化とは?活用のメリットや成功事例を解説

近年注目されている「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を効率的に進めていくためには、システムをクラウド化することが重要です。DX推進の一環としてシステムのクラウド化を検討しており、「どのような種類があるのか」「他の会社では、どのように活用しているのか」などが知りたい場合もあるでしょう。

本記事では、クラウド活用の必要性や導入のためのポイント、クラウド化に成功した企業の事例などを紹介します。クラウド活用を始める際の参考にしてみてください。

DX推進のためにはクラウドの活用が重要

DXとは、デジタル技術を活用して、ビジネスや人々の生活をよりよく変革すること。DXを推進するためには、システムのクラウド化が重要であるといわれています。
まずは、クラウド化の定義や必要性などについて見ていきましょう。

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DXにおけるクラウド化とは?クラウド化はデジタル化の一つ

「クラウド」とは、インターネット上でソフトウェアやハードウェア、アプリ、ストレージなどを提供するサービス形態のこと。インターネットを介したサービスのため、ソフトウェアやアプリなどのインストールが不要で、インターネット環境さえあればどこでも利用できます。

インターネット上の仮想空間(サーバー)にデータを保存し、必要なときに運用することを「クラウド化」といいます。クラウド化を実現すれば、時間や場所を問わず、必要なときに必要なデータを自由に検索・活用できます。クラウドを活用すれば紙ベースでのデータ管理が不要となるため、クラウド化は従来アナログでしていた業務をデジタルに転換する「デジタル化」の一つともいえるでしょう。

なお、デジタル化の中にも以下のような階層があるとされています。

◎デジタイゼーション
業務効率化を目的に業務フローを局所的にデジタル化すること。
例:紙ベースの業務を電子化

◎デジタライゼーション
個別の業務や製造プロセスのデジタル化。ビジネスモデルなどプロセス全体をデジタル化に変革すること。
例:デジタルサービス導入による経費精算のデジタル化

令和3年版 情報通信白書|デジタル・トランスフォーメーションの定義」(経済産業省)を加工して使用

なぜDXにクラウド化が必要なのか?

これまで、さまざまなサービスを利用するためには、ハードウェアやソフトウェアなどを購入し、PCにインストールする必要がありました。しかし、昨今では、企業が保有するデータは多様化しており、そのデータ量も増加傾向にあります。そうした状況の中、企業のデータを効率的に活用するための手段として、インターネットを通じて素早く「いつでも」「どこでも」データを活用できるクラウド化の重要性が高まっているのです。

クラウドとオンプレミスの違い

クラウドと比較されることが多いのが、「オンプレミス」です。オンプレミスとは、システムの稼働やインフラ構築に必要なサーバー、ソフトウェアなどを自社で保有し、運用する利用形態のこと。

クラウドとオンプレミスの一番の違いは、サーバーなどを自社で保有する必要があるか否かです。クラウドでは、ベンダー(クラウドサービスを提供する事業者)が構築しているシステムをインターネット上で利用するため、サーバーなどを自社で保有する必要がありません。一方、オンプレミスでは、自社で保有・運用する必要があります。

オンプレミスは自社でサーバーやソフトウェアなどを保有・運用しているため、自社でシステムをカスタマイズしやすいのが特徴です。自社のネットワーク環境下のみで利用可能なため、セキュリティーを高く保持できるという利点もあります。一方で、サーバーやソフトウェアなどのIT機器を自社で用意する必要があるため、初期費用が高額になりやすいです。また、管理運営にかかる人件費や維持費用なども多くかかります。

一方、クラウドには「初期費用や維持費用が低い」というように、オンプレミスとは相反する特徴があります。

クラウドの種類

クラウドには、さまざまな種類があります。ここでは、クラウドの3つの種類に加え、サービスの利用形態ごとの分類について解説します。

「パブリッククラウド」「プライベートクラウド」「ハイブリッドクラウド」、それぞれの特徴は?

クラウドには、大きく分けて以下の3つの種類があります。

種類 パブリッククラウド プライベートクラウド ハイブリッドクラウド
特徴 ・ベンダーが管理するサーバーを利用して、各企業が利用できるサービス ・企業または個人の専用クラウド環境を、ベンダーが提供するサーバー上に構築して、利用できるサービス ・パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせたサービス
・目的に応じて、パブリッククラウドとプライベートクラウドを使い分けられる

パブリッククラウド

パブリッククラウドは、専用環境が不要なため導入スピードが速く、初期費用や保守費用を抑えて利用できます。一方で、トラブル発生時には自社で対応できないため、ベンダーの復旧対応を待つ必要があります。代表的なパブリッククラウドサービスは、Amazon Web Service(AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などです。

プライベートクラウド

プライベートクラウドは、自社のニーズに合わせて、クラウド環境を柔軟にカスタマイズできます。専用環境のため、セキュリティーが高い点もメリットの一つです。一方で、初期費用や保守費用が高額になりやすいことはデメリットといえるでしょう。

ハイブリッドクラウド

ハイブリッドクラウドは、パブリッククラウドとプライベートクラウドの利点を活かしたシステム運用が可能です。自社のシステムを、パブリッククラウドとプライベートクラウドに適材適所で配置できます。

自社の状況に合わせて徐々にクラウド環境を整備できるので、既存システムを一度にクラウド化することが難しい企業で主に採用されています。一方で、システムの運用管理や改修の難易度が高いため、専門性の高いIT人材を社内で確保する必要があります。

「 SaaS 」「 PaaS 」「 IaaS 」の違い

クラウドサービスには、その利用形態によって3つの分類があります。クラウドサービスは階層構造のため、利用できるサービスの範囲によって名称が異なります。

種類 SaaS PaaS IaaS
特徴 ・クラウド上にあるソフトウェアやアプリケーションを、ネットワーク経由で利用できる ・クラウド上にあるアプリケーション開発のためのプラットフォームを利用できる ・クラウド上にあるネットワークやサーバーなどのコンピュートリソースを利用できる
サービス例 ・Google Workspace
・Microsoft 365
・Amazon Web Services(AWS)
・Microsoft Azure
・Google Cloud Platform(GCP)
・Amazon Web Services(AWS)
・Microsoft Azure
・Google Cloud Platform(GCP)

SaaS

SaaS(Software as a Service)とは、ユーザーが必要なソフトウェア機能のみをインターネット経由で利用できるサービスです。メールサービスやオンラインストレージ、オフィスソフトなどをクラウドで手軽に利用可能。サービス提供範囲内の機能で十分に作業が行える場合や、利用したい機能が明確な場合におすすめです。

PaaS

PaaS(Platform as a Service)とは、アプリケーションの稼働・開発・運用に必要なプラットフォームを利用できるサービスです。ユーザーはそのプラットフォームを利用する上での管理はクラウドに任せることができるため、ユーザー側で運用管理の必要がありません。また、データ分析や人工知能などのクラウドサービス特有の機能をアプリケーションに組み込みやすくなることも特徴です。

IaaS

IaaS (Infrastructure as a Service)とは、クラウド上にある仮想サーバなどのコンピュートリソースを利用できるサービスです。PaaSよりもアプリケーション開発における自由度が高く、柔軟に構成作成が可能。一方で、SaaSやPaaSと比較すると運用負荷が高く、運用管理もユーザー側で行う必要があるため、専門知識の高い人材を確保しておく必要があります。

DX推進にクラウドを活用するメリット

システムのクラウド化は、DXの効率的な推進に大きく貢献します。ここでは、クラウド活用のメリットをご紹介します。

コストを抑えてすぐにスタートできる

クラウドサービスを導入すれば、自社でサーバーの手配やソフトウェアの開発を行う必要がなくすぐに運用環境を整えられるため、社内のDX化促進を後押しできます。加えて、運用環境構築のための初期費用やランニングコスト等のトータルコストを抑えてスタートできるメリットもあります。

運用負荷を削減し、より有効な人材活用を実現できる

自社でシステムを運用する場合、メンテナンスや保守、トラブル発生時の対応など、担当者には大きな負荷がかかります。クラウド上でのシステム運用では、ベンダーが保守やメンテナンスを行うため、自社で多くのエンジニア人材を確保する必要はありません。そのため、「会社の売り上げに直結する部門に人材を多く配置する」「業務量が多く、人手が足りない部門に人材を配置する」といったように、自社の人材をより有効活用できるでしょう。

自社に合わせて柔軟にカスタマイズできる

クラウドサービスは、さまざまな機能の中から自社に必要なものを選べる「柔軟性の高さ」も魅力です。市場の動きや自社の状況に合わせて、容量や機能を増やすことが可能なため、生産性の向上も期待できます

DX推進にクラウドを活用するデメリット

クラウドサービスの活用は多くのメリットがある一方、デメリットもあります。

ベンダーによりセキュリティーリスクの度合いが異なる

セキュリティー対策の度合いはベンダーによって異なるため、信頼できるベンダーを選ぶことが重要です。高いセキュリティーを求める場合、情報セキュリティーを適切に管理していることを示す「ISMSクラウドセキュリティー認証」を取得しているベンダーを選ぶなど、事前にリスクを回避できる工夫をしましょう。

管理や運用がベンダー任せになる

クラウドの管理や運用はベンダーが行うため、通信障害などが起きた際にはアクセスできなくなってしまいます。トラブル発生時の対応方法などをベンダーに事前に確認しておきましょう

既存システムとの連携がうまくいかない場合がある

カスタマイズができる範囲は、ベンダーやサービスにより異なります。そのため、自社の既存システムとうまく連携ができないことも考えられます。クラウドサービスを正式に導入する前の調査・検証(PoC)の実施を検討しましょう

クラウド活用を成功させるポイント

クラウド活用に成功するためには、どのようなことを意識する必要があるのでしょうか。クラウド活用を成功させるポイントについて、みていきましょう。

クラウド移行の目的を明確化し、導入フローを詳細に設計する

まず、既存システムの課題点や問題点を洗い出しましょう。自社の状況を正しく把握し、クラウド化により何が解決できるのかを明確にすることが大切です。その上で、導入に向けて社内担当者を決め、詳細なフローを設計します。社内で担当者を選任できない場合は、専門ベンダーに依頼する方法もあります。

社内のリテラシー教育を徹底する

クラウドを適切に利用するためには、従業員のITリテラシー向上が不可欠です。社内全体のITリテラシーを高められるよう、定期的に研修や講習会を開催したり、新人研修に情報セキュリティーに関する内容を入れ込んだりするなど、教育環境を整えましょう。

自社に適したクラウドベンダーやサービスを選ぶ

さまざまなクラウドサービスがありますが、その強みや特徴はサービスにより異なります。導入する際には、複数のベンダーやサービスを比較検討し、自社の状況や課題に合ったサービスを選択しましょう

「AxisBase」なら、自社に最適なクラウドシステム構築を実現

DXを推進するためには、自社の課題を把握した上でクラウド化することが重要です。キッセイコムテックが提供する「AxisBase」は、セミオーダー型のシステム構築を採用し、企業の要望に合わせた柔軟性のある開発が可能。テンプレート機能を活用することで、「高品質」「低コスト」「短納期」なシステム構築を実現できます。

実際に「AxisBase」を導入した企業の事例を紹介します。

AxisBaseの導入事例

パソコン周辺機器の開発を手掛けるエレコム株式会社様は、同社製のネットワーク機器を一元管理できるリモート管理サービス「アドミリンク」の提供を2022年5月より開始。

これは、従来から提供していた管理サービスを抜本的にリニューアルしたもので、同サービスの開発にあたり、キッセイコムテックでは、クラウド側のシステム開発や基盤選定、各種技術サポートなど幅広く支援を手掛けています。

セミオーダー型のシステム構築によりお客様のDX推進の基盤となる新システムを実現

AxisBase導入事例のより詳細な情報をご覧になるには、こちらからお問い合わせください。

クラウド化の実現がDX成功のカギに

自社のDXを効率的に進めるには、システムのクラウド化が重要です。ベンダーやサービスによって強みや特徴が異なるため、さまざまなサービスを比較検討し、自社に適したサービスを選ぶことを推奨します。移行目的を明確化し、従業員のリテラシー教育も進めながら、システムのクラウド化を推進していきましょう。

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