AWSでできることは?特徴やメリット・デメリット、企業への導入方法を解説
AWSでできることは、どのようなことでしょうか。アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(AWS Japan) が提供しているクラウドコンピューティングサービスAWSは、200を超えるWebサービスを提供し、AWSを利用してできることは多岐に渡ります。この記事では、AWSでできることについて具体的に紹介します。併せて、AWSを利用するメリット・デメリットや、企業での活かし方について活用事例を含めながらお伝えします。自社業務のシステム化を検討している方をはじめ、AWSに興味がある方の参考にご覧ください。
※この記事は、2023年12月27日時点でのAWSの公式サイトの情報を基に作成しています。記載されている情報は、作成時点のものです。
AWSでできること。主な8項目を紹介
AWSとは、Amazon Web Servicesの略称で、世界で幅広く採用されているクラウドコンピューティングサービスです。クラウド環境で提供されているサービスのため、ユーザーは自社でサーバーやソフトウェアを準備することなく、必要なサービスを利用したいときに利用したい分だけ使えます。
AWSでは以下のようなさまざまなサービスが、インターネット経由で利用可能です。
- コンピューティング
- ストレージ
- データベース
- ネットワーク
- IoT
- 分析
- 機械学習
- セキュリティ など
ここでは、具体的なサービス内容をご紹介します。
1:コンピューティング【Amazon EC2、AWS Lambda】
まずできることとして、サーバー環境の構築に有効なコンピューティングサービスが挙げられます。自社でサーバーを購入したり設置したりせずに、AWSが提供する仮想サーバーを利用可能です。
主な製品としては、安全でサイズ変更が可能な仮想サーバーを提供するAmazon EC2や、サーバーをプロビジョニングまたは管理せずにコードを実行できるようにするAWS Lambdaがあります。
2:ストレージ【Amazon S3】
ストレージは、データを保存しておく役割を果たすサービスです。ストレージを利用し、データの蓄積はもちろん、バックアップや復元、分析などに活用できます。仮にクラウドを利用せずにデータをストックするには、外付けストレージを用意する必要がありますが、大容量のデータ保存には向きません。企業などが持つデータ量が格段に増えている現代において、ストレージは非常に有効なサービスと言えます。
主な製品としては、どこからでも簡単に必要量のデータを保存、保護できるオブジェクトストレージAmazon S3があります。
3:データベース【Amazon RDS】
データベースサービスも提供されています。現代では、数年前とは比較にならないほど取り扱うデータの量は増加しており、データを有効活用するためには、クラウド型のデータベースは必須と言えます。
主な製品であるAmazon RDSは、数回の操作でクラウド内にリレーショナルデータベースをセットアップし、運用、スケールできます。Amazon Aurora PostgreSQL 互換エディションやRDS for Oracleなど、よく使われているデータベースエンジンから選択できるマネージドリレーショナルデータベースサービスです。
リレーショナルデータベースとは
テーブル形式になったデータ同士を関連づけて、利用できるようにしたデータベース。情報の整合性や管理の効率化に優れ、顧客リストや商品一覧データ、従業員リストなど幅広い種類のデータ管理に適している。
4:ネットワーク【Amazon VPC】
ネットワーク設定や構築、コンテンツ配信の設定のサービスも提供しています。
主な製品であるAmazon VPCは、AWSアカウント内に専用の仮想ネットワーク空間を構築でき、空間内で、仮想サーバーやデータベースの利用が可能です。IPアドレス範囲の選択、サブネットの作成、ルートテーブルやネットワークゲートウェイの設定などができます。
5:IoT【AWS IoT Greengrass】
IoT構築に必要なサービスも提供しています。AWS IoTは、IoTデバイスを他のデバイスやAWSクラウドサービスへの接続に対応。複数のサービスの中から、最適な最新のテクノロジーを選択できます。
主製品の一つであるAWS IoT Greengrassは、クラウドの機能をローカルデバイスに拡張するソフトウェアです。これを使うことにより、AWS IoTの機能をエッジ(現場)環境でも使えるようになります。
6:分析【Amazon EMR】
AWSにはビッグデータなどを分析するサービスもあります。データの移動、データストレージ、データレイク、ビッグデータ分析、ログ分析、ストリーミング分析、ビジネスインテリジェンスを目的別の分析サービスとして提供しています。
例えばAmazon EMRは、Apache Hadoop や Apache Sparkといったビッグデータフレームワークの実行を簡素化して、ビッグデータを処理および分析します。
7:機械学習【Amazon Personalize】
大量のデータを処理し、データパターンを識別する機械学習のサービスも提供しています。機械学習を展開するためには、一般的にはプログラム開発や学習アルゴリズムの設計知識のほか、統計学やデータベースなどの知識も必要です。しかしAWSなら、そのような専門知識を有せずとも、機械学習サービスの利用が可能です。
主な製品としてはAmazon Personalizeが挙げられます。Amazon Personalizeは、個々のユーザー向けに、製品説明やレビューなどのレコメンデーションをリアルタイムで提供できるサービスです。
8:セキュリティ【AWS WAF】
セキュリティの分野でもサービスが提供されています。AWSなら、IDおよびアクセス管理、ネットワークとアプリケーションの保護、データ保護、コンプライアンスと監査プロセスの自動化など、あらゆるシーンでのセキュリティに対して、有効な手立てが可能です。
例えば、AWS WAFは、ユーザーが定義する条件に基づきウェブリクエストを許可、ブロック、または監視(カウント)するルールを設定し、ウェブアプリケーションを外部からの攻撃から保護するWebアプリケーションファイアウォールです。
AWSのメリット
クラウド上でさまざまなサービスを利用できるAWSですが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。多数のAWS実績とAWS認定資格取得者を有し、AWSコンサルティングパートナーとして認定を受けているキッセイコムテックの山田高志が、AWSのメリットについて解説します。キッセイコムテックでは、AWSの導入(構築・移行)、AWSサービスをフル活用したシステム構築、稼働後のAWS運用管理まで「AWS総合支援サービス」を提供しています。
〈メリット1〉拡張性・柔軟性に優れ、自由度が高く使える
AWSでは現在200を超えるサービスを提供しています。利用可能なサービス群としては、「AWSでできること。主な8項目を紹介」で取り上げたサービス以外にも、アプリケーション統合、ブロックチェーン、マネジメントガバナンス、開発者用ツールなど多岐に渡り、あらゆるワークロードをサポートしています。
また、数多く提供されているサービスは組み合わせて使えるため、拡張性・柔軟性に優れ、自由度が高く使えるのもメリットです。ITサービスをゼロから開発する必要がないため、スピーディーに業務を展開することにもつながります。
〈メリット2〉セキュリティ面で安心して使える
AWSは優れたセキュリティが備わっている点もメリットと言えます。AWSのコアインフラストラクチャは、国際展開している銀行や高い機密性が求められる組織のセキュリティ要件を満たすように構築されています。そのため、セキュリティ対策を独自で行うことなく、安心で安全なシステムを利用できます。世界的に利用されている実績からも、セキュリティの高さが伺えます。
〈メリット3〉導入期間が短く、パフォーマンスが安定している
新たなサービスの申し込みや容量の追加がすぐでき、短期間での導入が可能な点も見逃せません。これまで多かったオンプレミスでのITリソース導入の場合、発注から納品まで1カ月ほどかかり、さらに構築のための時間がかかってしまいました。しかし、AWSなら、数分で必要なITリソースの調達が可能です。サービスの質が常に高く保たれており、パフォーマンスが安定している点もメリットとして挙げられます。
〈メリット4〉グローバルな展開にも対応している
AWSはリージョンと呼ばれるサービス拠点を全世界において33カ所展開しています。さらに105のアベイラビリティゾーンという複数のデータセンター群で構成されます。 アカウントを開設した時点で、世界中のデータセンターにシステムが展開できるのです。
〈メリット5〉導入コストを抑えられる
低価格でITリソースを調達でき、購入コストを抑えられるのがAWSです。これまでは、新しくインフラ構築するためには高い初期投資が必要不可欠でしたが、AWSは初期費用が無料です。また、大半のクラウドサービスは利用量に応じた従量課金型が適用されているため、必要なときに、必要な分だけITリソースの確保が可能です。複雑なライセンス契約やサービスの使用を停止したときの追加コストや解約料金もありません。
ポイント:AWS無料利用枠でできることもある
AWSを利用するにあたって、AWS無料利用枠も見逃せません。100を超えるサービスを、無料オファーできます。無料利用枠は、「無料トライアル」「12カ月間無料」「常に無料」の3種類があります。AWSの利用を検討している場合、まずは無料利用枠を使ってサービスを体験してみるのもおすすめです。
〈メリット6〉管理・運用の工数が減る
オンプレミスの場合、自社でサーバー機器などを持つことになるため、ハードウェアやソフトウェアの管理・運用が必要です。しかし、クラウドサービスであるAWSなら、サーバーを調達する必要がないほか、管理・運用を部分的にAWSに任せられるため、管理担当者の工数を減らせます。
AWSのデメリット
AWSのデメリットはどのようなことでしょうか。詳しくみてみましょう。
〈デメリット1〉予算が組みにくい
AWSは、使った分の料金を支払う従量課金型が適用されているため、月々の支払いが一定額とは限りません。状況によっては複数のサービスを利用することもあり、そうなればその分の費用がかかります。自社でサーバーを構築するのであれば初期投資はかかるとしても管理コストなどその後の運用は見通しが立てやすいですが、AWSは正確な予測は難しく、予算を組みにくいと言えるでしょう。
〈デメリット2〉自由度が高く使いこなす技量が必要になる
現時点で200を超えるサービスを提供しているAWSですが、今後もサービスは増えるでしょう。選択肢が多い分、自社にとってどのサービスが最適なのか判断するのは難しい場合も考えられます。自社に使いこなす技量がない場合は、AWSのサービスを提供するプロフェッショナルとしてAWSから認定されているAWSパートナーと連携を図ることも一案です。AWSのサイトでは、自社が求めるAWSパートナーを検索するページ「AWS パートナーとイノベーションを起こす」が用意されています。詳しくはこちらをご覧ください。
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AWSでできることを最大限活用し、自社のシステム最適化を
AWS導入は、常に最新のテクノロジーの恩恵に預かれるということになります。導入期間が短く、セキュリティ面で安心でき、その上イニシャルコストや運用コストを抑えられるのですから、利用しない手はないでしょう。とはいえ、賢く利用するためには、精通した知識も必要です。AWSパートナーとの連携などを図りながら、自社のクラウドサービス構築を進めてみませんか。